東京国立博物館で開催中の史上最大の「運慶展」。2008年には運慶作とされる仏像がニューヨークのオークションに出品され、約14億円で落札され話題となった、日本で一番有名な仏師「運慶」。運慶の特別展へ行かれた方も多いのではないでしょうか?
「運慶」と「水晶」。
なんの関係もなさそうな、この2つ。実は関係大アリなんです。
八百万の神という思想を持つ古代の日本人は、透明で不思議な六角形の石(水晶)を神の力が宿った神聖なものと考え、神社の御神体として祀ることもあったそう。水晶は個人の潜在的な能力や、霊的な能力を高めたり、災いから守ってくれると考えられてきたためです。その人々の想いとそれを具現化しようとした軌跡や秘密を、仏像の世界にも垣間見ることができます。
1.仏像の目がキラキラと潤っている理由
運慶の作品の多くは、「玉眼」という仏像の目をより本物らしくみせるために水晶の板をはめ込む技法が使われています。「眼」は顔の中でも一番存在感がある場所。仏師たちは、目に光が入りよりリアルな表情を造りたかったのかもしれません。
その工程は・・・
1.眼の部分の穴より大きめの水晶を用意して真ん中に黒目を書き込み、眼の穴の内側から外に向って水晶をあてる。
2.水晶の裏側から白い紙をあてると本物の眼のようになる。
3.最後にこれを木片で押さえて、木屎漆や竹釘で留める。
2. 眉間に存在するイボ(?)の正体
仏様の眉間の上あたりについているイボ(?)のようなも。この正体が気になっていた方も多いはず。正式な名称は「白毫(びゃくごう)」といい、白く長い毛。右巻きに丸まっており、伸ばすと1.5mもあると言われています。毛がくるくると丸まって、イボのように見えるんですね。この白毫に使われているのが水晶です。光を表し暗がりでさまよう私たちに、明るいところへ導いてくれるという意味が込められているそうです。
3.CTスキャンでわかった仏像の“中身”
仏像内部に仏舎利(釈迦の遺骨)やお経などを納めることは昔から行われていたそうですが、運慶の作品には特徴があります。
仏像調査で用いられたX線によるCTスキャンにより、水晶で出来た五輪塔と心月輪(しんがちりん)と呼ばれる仏の心に例えられる球体が、「心」の位置に納入されていることがわかったそうです。
なんてロマンティックなんでしょう!!!
11/26(日曜日)までです!
まだの方は是非実物をご覧になってみてください!
東京国立博物館
http://www.tnm.jp/